2017年の夏のこと。
ダブリン郊外に滞在していた私。その年の冬にオーストリア人の友人の紹介で日本で友達になった日本語勉強中のクリスティーナ(実家を継いでオーストリアのビオの小麦農家で働いてる。)のアイルリッシュ彼氏の実家がリムリック(アイルランド中央部。アイルランド第三の都市。)なんだけど遊びにいくからアユコもどう?ダブリンから電車で一本だし駅まで迎えにいくよ!
とのことでお邪魔にならないか心配もちょこっとだけしつつ、んでももうつきあって10年のカップルだし彼氏も気さくでいい奴だし断る理由もなくお家に伺わせていただきました。
滞在先からダブリンの電車の駅まではトラムで1時間半のはずが
乗ってから10分も立たないうちに
「誰かに電線を切られたのでここで止まります。」
(すみませんとは言わない。)
途方に暮れるとはこのことかしら。
とりあえず近くにいた親切そうな移民系のお兄さんに
「中央駅まで行きたいんですけどどうすればいいと思いますか?」
とお尋ねしたら
「僕もその近く行くんで、途中まで一緒に行きましょうか。」
と。
ほっ。
トラムが使えないのでバスの停留所まで20分程歩き、
そこから中央駅まで更に1時間ちょい。だったでしょうか?
土曜日で渋滞もしてたのでもしかしたらもっとかもしれません。
親切なお兄さんとの小旅行がはじまりました。
お兄さんは18歳でインドから数学を勉強しに留学中とのこと。
すごくクレバーなんだね!といっても否定しませんでした。
あたりまえか。
私の年齢(当時30歳)を伝えると
「Jesus!」
と
仰ってました。
彼がヒンズー教なのかキリスト教なのかは聞いてませんが、アイルランドではびっくりした時によく”Jesus” 使います。
「君の国の30歳の女性でヨーロッパ旅してる人なんていないだろうね。」
「そうだね。インドだと結婚してるね。そういえば、日本は親が結婚相手を探さないってほんと?」
「自分で見つけるのが普通だけど一部はまだいるんじゃないかな?でも5%以下だと思うよ。」
「そうなんだねー。恋愛結婚はイメージしづらいな〜。」
「ちなみに日本の離婚率は30%なんだけどインドはどんな感じなの?」
「え!30%!ジーザス!僕の周りでは一組しか知らないけど大ニュースだったしめちゃくちゃ珍しいことだと思うよ!離婚は。」
余談ですがドイツの離婚率は50%。ロシアの都市部はなんと80%でシングルマザー同士の助け合いコミュニティがあるんだとか。それはそれでいいなぁ。
お見合い結婚は離婚するとなると頭下げなきゃ(あ、インド人は下げないか?)行けない人も恋愛結婚よりも多いし面倒だからだろうなとは思うけどそんなにびっくりされちゃうなんて。
「ところで、インドにはマフィアがいるってほんと?」
「え!なんでそんなこと知ってるの?いるにはいるけどあんまり公になってないイメージ。」
「本で読んだの。危険地ジャーナリストのエッセイ(石川広太著 物乞食う仏陀)でね。こどもを誘拐して使えそうな男の子はマフィアに育てて、そうでもない男の子は臓器として売って、女の子は身体を売る仕事につかせて。みたいな話だったかな?」
「まぁ、僕も聞いた話でしかないけどそうみたいだよね。まさかインドのマフィアの話を君とするとは思わなかったよ。ジーザス。」
そんなこんなで目的地に到着しお互い名前も知らぬまま、お別れしました。
本来であれば順調にリムリックに行って昼からギネスな週末でしたが、諸々の出来事があり夕方からギネスになってしまいました。
とはいえ塞翁が馬というと大げさですが、災難にあってもとっても有意義な時間でした。
余談ですがお世話になった友人のアイリッシュ彼氏のご両親からお隣に男性をライトに紹介されました。
長年つきあっていた彼女にふられて落ち込んでいる所らしく、ほんとにいい人だから幸せになってもらいたいわ〜。とも。
お互い(多分)本気にしてないし夕方からギネスをあおり、ワインを何本かあけた後だったのでわたしも調子ぶっこいてみんなでインドではあり得ない、たられば話をノリノリで進めて楽しみました。
彼ママの
「ってゆーかアユコがもし彼の子ども生んだらさ!ハーフと見せかけて51〜2%アイリッシュになるのよね! それってすっごく楽しくない?ラブリー!」
あたりで友達が冷静にフォロー入れてくれました。
お後がよろしいようで。