アメリカ旅

ニューオーリンズ初夜のドキドキ初体験

仮に小泉八雲(ラフカディオ ハーン)に縁がなかったらニューオーリンズなんて訪れなかったと思うのですが、ラフカディオについて何も知らないニューヨークの友達に

「シンシナティとニューオーリンズ行くんだー!」

と言うと

「シンシナティはなんでだかよくわかんないけどニューオーリンズはすっごくアユコっぽいね!きっと好きだと思うよ!」

と言われて期待値Maxで夜の空港に降り立ちました。

英語、スペイン語、フランス語、日本語でお出迎え。

 

目的地までのバスを探すも、非常にわかりにくかったのでとりあえず親切そうで空港スタッフにしか見えない蛍光グリーンなベストをお召しのドレッドがよく似合うアフリカンなお姉さんに訊きました。

「あのー〇〇まで行きたいんですけどどのバス停ですか?」

「ん?ここだよ!私もおんなじバスまってるし乗り換えだけど降りるとこも一緒だよー!」

「そうなのね!私も乗り換えで使うの。」

ベスト着たままなのはナゾでしたがまぁそんな人もいるよね!

ということで道中40分ほどを過ごすことに。

彼女は高校卒業してからすぐに空港で働き始めて4年目の22歳。

身長は私とほぼ変わらない150cm。(わたしは148cm)

 

ルイジアナ州生まれだけど両親とは離れて一人暮らし中で片道1時間かけて空港に通ってる。

お互い一通りの自己紹介を済ませて何となく意気投合したので

「アユコがニューオーリンズいる間にハングアウトしようよー!」

ということになり、連絡先を交換しました。

 



その後、お姉さんの態度一変。

「アユコの髪、ディープなブラックでスムースでホント綺麗。」

とわたしの胸下まである髪に指を絡ませ始めました。

「あ。サンクス!ところでその、ドレッドの手入れ大変じゃない?」

と必死に切り替える。

「そうね。そんなに洗わないしからいう程手間はかけてないと思うけど。

彼氏、いないんだよねー?」

「うん、そうだけど…(あぁ、この暑さで洗わないってドレッドきったないんだな!って思ったことに脳みそのキャパシティ使っちゃっていい切り返しが思い浮かびません。)」

手がほっぺに触れました。

「なんてすべすべなチーク。小さくてキラキラしているダークな瞳…

なんてディープな黒髪…アユコ、…もう行く場所決まってるのよね…

残念…。」

女性に口説かれるのは恥ずかしながら初めてです。

しかもそれが8つも年下のアフリカンの女性とは思ってもみませんでした。

 

そうこうしているあいだに乗り換えの駅へ到着し、上っ面で

「またねー!」

と言って目的のAirbnbへ。



到着し、Wifiに繋ぐとやはり

「アユコ、今日は出会えて嬉しかった。

明日は空いてる?ぜひわたしのお家に遊びに来てね!」

とのメッセージが。

高祖父譲りの好奇心が疼き、怖いもの見たさでとりあえず

「何時が空いてるの?」

「うーん、午後9時あたりかな?」

中心地から離れた場所に住んでいると聞いている。

 

これはアユコ帰れませんパターン確定…。

 

また時間があれば連絡する旨を伝えて申し訳ない気持ちを少しだけ抱えながらゴースティングしました。

 

ふと思いました。

ご先祖さまの小泉八雲(ラフカディオ ハーン)がニューオリンズに来る少し前、シンシナティで黒人の女性と結婚して職を失いました。
当時は人種を跨いでの結婚は違法でした。

今でこそLGBTなんて言葉も定着していてある一部の層を除けば比較的社会の理解もある世の中。

アジア人と黒人が密な関係になったところで特に罰せられることもない。

せっかく誘われたのだからやはり、わたしは玄孫としても誘いに乗るべきだったのでしょうか?

 

余談ですがこの話をバイト先のバーですると

「なんで断っちゃったの?」

「行っちゃえばよかったのに。」

「続きないの?」

「で?その後は?」

「オチは?」

的な感想がほぼ100%です。

残念ながら、このお話はこれで完結です。ほんとにごめんなさい。

ミシシッピリバー。 本当はラフカディオハーンと同じくメンフィス経由で船で来たかったんですが、見下ろすのもまた乙なものですね。
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守谷 天由子
ギリシャとアイルランドの両親を持つ明治の文豪、小泉八雲 (Lafcadio Hearn) の孫の孫の守谷天由子(もりやあゆこ)です。 文系か理系かと言われるとアート系のジュエリーデザイナー。 八雲と同じく異文化に触れる旅やウィスキーが大好き! 2017年に5カ国に渡る足跡ツアーを4ヶ月かけて自力で回りました。 道中出会ったアイリッシュ夫と海辺の町で暮らしています。