ドイツ生活

ドイツでは1月に保険は入りにくい?発音ミスが招いた喜劇

2013年の1月、ベルリンに引っ越してきたばかりの出来事でした。

早々に見つけたバイト先のレストランで

「保険に入ってください。じゃないと雇えません。」

 

と言われました。

当時ワーキングホリデービザで滞在しており、ビザを取得するためには保険に入っていなければいなかったのですでに加入し先日までミュンヘンでは同じような条件で問題なく働いていた旨を伝えても入れ入れの一点張り。
今思えばアジア女性だから舐められていたのかなと言う気もします。

さて、困った時にはルームメイト(ドイツ人男子学生25歳 × 3人、ドイツ人26歳 社会人女性1人。)の中の誰かに相談するのが常。

各々の部屋はもちろんありますがリビングダイニングが広くて居心地がいいので大体誰かしらがいます。

 

帰宅したら女の子と物理学を学ぶルームメイトが、お茶してました。

「アユコー!新しい仕事はどうなった?」

「うん。取り合えずは働けるらしいんだけどね保険と運動靴を買わないといけないってボスに言われて。運動靴はともかく保険は探すのたいへん〜。どうしよう。」

「そりゃたいへんだ!」

女の子はすごく驚いてくれましたが物理くんとはまだ打ち解けていなかったので終始無言。

「うーん、っていうか1月は難しいかもよ?本当に必要なの?」

「え?Januer(1月)?Schwere (むずかしい)?」」

「え、だってアユコ桃買いたいんでしょ?」

ももも、桃〜?

ちなみにドイツは桃が1kg300円ぐらいで買えます。ただし夏に限る。

 

「ごめん、わたしが買いたいのこれ。」

 

と言って独和辞書の”保険”の画面を見せました。

「ああ!保険(Versicherung )か!てっきりPfirsichと思った!あはは!」

 

あーびっくりした。

二つの単語は文字にすると全然違いますが

Versicherungは フェアジヒャァルング
Pfirsichは  プフィルジヒ

と発音します。が、上記のカタカナをそのまま伝えても汲み取ってくれる人は恐らくドイツ人の半分以下だと思います。
日本では変な発音の日本語をしゃべったとしても外国人風の日本語として認識できる人が多いですがドイツはかなりシビアです。

音声を確認したい方はこちらからどうぞ。

唯一、Sich (ジヒ)の部分がかぶっていますがプフィルジヒのプフはほぼ発音しないようなものです。

それともしかするとですが

Ich muss eine Versicherung, Sportschuhe nehmen.
(わたしは保険、運動靴を手に入れないといけない。)

とちょっと間違った言い回しのドイツ語を喋っていた場合、

Versicherung, Sportschuhe (保険、運動靴)

Pfirsich und Sportschuhe (桃と運動靴)

に聞こえていた可能性もあります。

今となっては笑い話ですし日本で日本語とドイツ語でLanguage exchangeをしていたときはもっぱらのネタでした。

ちなみに物理くんとはその後なかよくなり、再度ベルリンを訪れた際に

「そういえばさーわたし保険って言えなかったことあったよね〜覚えてる?」

と何の気なしに尋ねた所

「うん。まあオレは最初から保険の話してるって思ってたけどね。」

とのことでした。おいっ。

彼は日本でドイツのサッカーの試合を観て勝ったときはメッセージをする仲で、元ドイツ代表のメスト・エジル選手の話をする仲でわたしの’’Ö’’の発音を正してくれた恩人でもあります。

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守谷 天由子
ギリシャとアイルランドの両親を持つ明治の文豪、小泉八雲 (Lafcadio Hearn) の孫の孫の守谷天由子(もりやあゆこ)です。 文系か理系かと言われるとアート系のジュエリーデザイナー。 八雲と同じく異文化に触れる旅やウィスキーが大好き! 2017年に5カ国に渡る足跡ツアーを4ヶ月かけて自力で回りました。 道中出会ったアイリッシュ夫と海辺の町で暮らしています。