アイルランドの有名人と言えば、誰が思い浮かびますか?
U2のボノ?
CMでもよく聞くエンヤ?
ビヨークを思い浮かべた方もいらっしゃるかもしれません。
が、彼女はアイスランド人です。
ちなみに彼女が主演を務めて歌声もを惜しげもなく疲労する映画、ダンサー イン ザ ダークは私のベストオブ救い用のない映画。
見た後はちょっとやそっとの不幸をスルーできるようになってるかも?
とにかくどっぷり落ち込みたい時におすすめ。
冤罪で刑務所にぶち込まれるというだけでも相当なアンラッキーなのによくもあんなにサイテーなシチュエーションが次々と思いつくなあと感心するものの、観賞後の後味は最悪です。
さて、本題に戻ります。
フランスの英雄と言えばナポレオン、
アイルランドの英雄と言えばそう、
Bobby Sands!!
1954年に生まれ27歳で生涯を遂げたカトリック系で北アイルランドの統一を望むIRA暫定派(Provisional Irish Republican Army)の主要メンバーとして活躍したボビー サンズ。
日本語版のWikipediaにはなんと、
項目が
ありませんでした!
が、数々のユニークなストライキ(後述します)に加え獄中で国会議員に当選するなどの経歴をもつボビーの葬儀にはなんと合計10万人もの人々が参列したそうです。
1981年当時のアイルランドの人口は343万人。ボビーの葬儀が行われたベルファストを首都とするイギリス領の北アイルランドは154万人。
アイルランド島全体の人口は2020年の福岡県のそれと同じくらいです。
余談ですが小泉八雲がアイルランドにいた頃はアイルランド島事体が全てイギリス領であったため独立に際しての問題はあっても北アイルランド問題はなかったものと思われます。
ストライキの理由については “Special category status” いわゆる獄中では比較的自由度が高い政治犯としての権利を主張すると綴られている事が多いですが立場や視点によって見解がどうやら違うよう。
(複数のアイルランドのお友達にインタビューするもみんなちょいちょい違うこと言うのね。全員が英雄視している訳でもないし。)
ですが! 亡くなった理由は非常に明確。
ハンガーストライキによる餓死
ちなみにボビーはIRAの仲間と共に獄中で既に様々なストライキを行いました。
一度目は”政治犯で特別枠の囚人なんだから自分の服が着たいぜストライキ( Blanket protest )”で毛布だけを纏う獄中生活を行います。
その行動に感化された人々もまた、街中を毛布で練り歩く抗議活動をするなど既に英雄っぷりを発揮しました。
恐らくコートが必要な気候と思われます。
人々の関心は集められたとはいえ、シャワーやトイレに行く度に行われる看守の暴行など獄中生活の現状が変わることがないことを知ったボビーはより激しい抗議を仲間とともに行います。
”洗濯及びお部屋の汚物の処理も拒否しますストライキ( No wash No slop out protest )”
にとどまらず
“糞尿を独房 (2人部屋) の壁に塗りたくるストライキ( Dirty protest )”
という自身たちにも実害を被りまくる行動に出ます。
(写真は自粛。簡単にネットで見れます。)
ボビー サンズをもっと知りたい人におすすめの映画
Bobby Sands: 66 Days
は2016年に制作されたドキュメンタリータッチの映画。
主にボビーが刑務所に入ってからの彼を取り巻く世界の動きなども実録の動画を元に制作されています。
上記のDirty protestもモザイクなしなので要注意。
ちなみに66daysというのはボビーがハンガーストライキを開始してから亡くなるまでの期間です。
まぁ、労働は伴わず(確か)独房で過ごしていただけなので意外と長いですね!
絶食中も自身の主張をかなえるべく議員に立候補し見事30000票以上を獲得して当選するなど意志の強さを感じられます。
議会に登壇することより死を選んだあたりの哲学は独特ではありますが。
少し話を戻しましょう。
何のための抗議活動かを何人かの友人に問うた際に1人のアイリッシュ(60代男性。元新聞記者。当時27歳で亡くなったボビーと同い年。)が言っていたことをざっくり紹介します。
「なぜボビーが色んなプロテストをしたかねぇ、獄中内の人権を求めたとは言われてるけどユニークなプロテストをすることで国内外からの注目を集めること何じゃないかなって思うよ。
1970~80年代はベトナム戦争やイランイラク戦争、ソビエトや東西ドイツ問題で世界は荒れていたし、ヨーロッパの端っこでの小競り合いとも言える規模(IRAとイギリス軍の度重なる衝突では合計約3000人程がなくなったと言われています。)の領土問題が報じられる機会がなかったんだよね。
どんなにがんばってもイギリスの法治に逆らえないのはあれから40年近く経った今でも統一されていないことからも見て取れるようにボビー自身も1人の力では無理だからと報道の力を信じてどうにか世論を動かしたかった結果な気がするよ。」
とのこと。
北アイルランド問題は1998年に和平合意がなされたとは言うものの、現在でも問題として残っているのが事実。
UK国内での殺人率が最も高いのがベルファストとも言われているあたり、未だにIRAの戦闘員(その中でも様々なグループがあるよう)がいること、カトリック系のアイルランド人に対して敵対心を持ち、自由を奪ったベルリンの壁とはまた違いそれぞれの治安を守るための壁が21世紀の現在に機能していることもうなずけます。
映画の話に戻りますが内容がヘビーなのはもちろんのこと、糞尿抗議もしっかり映っていることもありスナック菓子をぽりぽりしながら見るような気持ちは起こらないのでダイエットにはうってつけですね!
俳優はアイルランド人で揃えられ、(マイケル ファスペンダーはドイツ人とのハーフ)臨場感を大切に作られた映画だというのもうなずけます。
言わずもがなボビーを演じるマイケルは餓死の過程を身体を張って表現しているのですが、水と栄養注射だけで作り上げた身体はドキュメンタリーよりもさらにリアルさを感じられる程に仕上がっています。
Dirty protestの演技も目をひそめたくなる程。
会話はほぼないのですがだからこそのボビーが主張するシーンの説得力が際立ちます。
Bobby Sands: 66 Days の方でも残酷な映像はありますが美術セット然り俳優たちの演技然りHUNGERの方がより身につまされる描写が多いと感じました。
もし両方観るならHUNGERを先に見た上で知識をさらにつけるようなイメージで
Bobby Sands: 66 Daysを観るのがおすすめです。
あっ、ダイエットの記事なんだった!
タイトルでなんと言う釣り方をしてしまったのでしょうか。
まさかのヘビーな内容でお届けしております。
常日頃痩せたいなぁと思いつつも北アイルランドの歴史にちょっと詳しくなってしまった貴方におすすめなのが
66日ダイエット
無論、現代においてずっと寝っころがってばかりいられる人は超マイノリティな訳ですから66日間も絶食することはほぼできないでしょう。し、健康を害してしまいます。
私が時々実践しているのは
すっごくお腹がすいて死にそう!
だけど食べたら太るから食べたくない!
という時に
66日間も食べなくても死ななかった、そして絶食中にも関わらず国会議員に立候補したらなれちゃった!という事実を思い出すことで今食べなくても全く問題ないわよ!と言い聞かせるダイエット。
です。
小腹がすいた時にもこのワザは使えますね。
バリバリ活動してらっしゃる方はこの限りではありませんが、この記事を執筆している2020年の3月は新コロナウィルスで全世界が自粛中。
うちにばかりいるとなんとなくながら食いや暇つぶし食いをしてしまう人も多いのではないでしょうか?
そんなときは北アイルランドの統一を願ったボビーの意思を汲んで(?)ぜひご自身を律してみてはいかがでしょうか?