ご先祖様

身近なルーツ旅 in 母の故郷 ① 下関で小泉八雲に思いを馳せる

産まれた頃から偉大なご先祖様である江戸時代に産まれた小泉八雲が教科書に載っていた私ですが、もちろんその後にも様々な出会いがあって私が東京に産まれ落ちた訳です。

曾祖父母以降でわかっている出生地は

東京、長崎、石川、広島、京都、青森、瀋陽、仁川、そして山口県。

大日本帝国時代の仁川に産まれて終戦後は税関に勤めた祖父の長女として山口県下関市に産まれた母は税関職員あるあるとも言われる転勤族でした。

そうは言っても産まれた場所は特別な思いがあるもの。

現在において親族は誰も下関に住んでいませんが前回私が訪れたのは6歳。

2019年にそう頻繁には帰って来れないアイルランドに嫁ぐことが決まり、母の故郷下関とついでに母の祖母の産まれた長崎を訪れることになりました。

せっかくだからローカルなスポットに思いを馳せたい!! とはいっても下関にはわざわざ来るべき価値のある名所も数多くあります。

ご先祖様的にも外せないのはもちろん

小泉八雲も来たかったはず!赤間神宮

そう、小泉八雲の代表作とも名高い”耳なし芳一” の舞台となった阿弥陀寺、現赤間神宮にももちろん立ち寄りました。

私が調べた限りでは小泉八雲もその妻のセツも下関を訪れたと言う文献は見つけられていません。

と言うのも、怪談は晩年セツの語りを元に東京で執筆された作品。本格的に世に出回ったのは八雲が亡くなった後だったりします。

さぞかし夫婦で来たかっただろうなぁという思いを胸に、正に目と鼻の先で産まれ育った曾孫の妻である母とアイルランドへ嫁ぐ直前に訪れるというのは何たるタイミングでしょうか。

しかも!訪れたのは2020年3月初め。そう、新型肺炎騒ぎの渦中ともありメインの観光客である大陸の方々は全くいない下関!
ということで赤間神宮を私たち母娘2人と恐らく地元っこであろうのかくれんぼを1人(みえてないだけかも…。)でする少年とで独占しました。

贅沢なかくれんぼだなぁ

赤間神宮を独占!

何の気なしに母が撮ってくれた写真ではありますが、何と安徳天皇(たぶん)とおソロコーデになっているではありませんか!

赤間神宮には東京から飛んできた日の夕方に早速訪れたのですが、朝出かける直前で着ようと思っていた服にほころびがあり急遽違う服をと手に取ったのがこの赤いワンピース。

今思うとご先祖様がチョイスしたとしか思えません。

耳なし芳一の像は扉が閉まっていましたが鍵はかかっていませんでした。

片道30時間程かかるところに引っ越し今度いつ来れるかわからないのでご挨拶させてもらいました。

観光ムードに溢れる頃にはお堂の中に灯りがともっていたりするのでしょうか。
ちょっと寂しそうです。

歴史マニアにはたまらない!関門海峡

平家が散った壇ノ浦。

現在は関門海峡の名前で知られていますが一日のうちに流れが変わる世界でも珍しい海峡だそう。

1日に行き交う船はなんと約1000隻!
幅は一番狭いところで500m。それがどれほど狭いのか素人では見当もつきませんが豊臣秀吉を乗せた船が座礁したと言う史実が残っているということはきっと昔から難所なのでしょう。

現在でも時折事故が起こっていることから見ても操縦テクニックは必要不可欠ですし車間距離ならぬ船間(?)距離の計算方法なんかは風向きも考慮しつつ、制限速度も守らなければならない(高速道路と同じで遅すぎても危険らしい。)ことからきっと難しいに違いありません。

(余談ですが母の祖父は関門海峡で水先案内人をしていたこともあります。大正から昭和にかけて船で駆け巡った人生だったので総移動距離は世界約半周をした小泉八雲よりも上かもしれません。)

この海峡の類希なる潮の満ち引きの特色は壇ノ浦の戦いの勝敗を分けたという見方もあります。

ホームゲームでないにも関わらず潮流を味方に付けて勝利したである源氏が実権を握るようになったことをきっかけに貴族政治から幕府による武家政治にシフトして行くことになったのですが、もしここで平家が勝っていたら耳なし芳一の物語はこの世に登場しませんし、代々島根や鳥取、滋賀県辺りの武士の家系であった八雲の2人目の妻であり私の高祖母の小泉セツは産まれていなかったかもしれません。

1185年から景色はかなり変わったはずですが海原の風向きが複雑であることは今も昔もこれからも変わることはないでしょう。

あの世に思いを馳せつつ、ロマンチックが止まりません。

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守谷 天由子
ギリシャとアイルランドの両親を持つ明治の文豪、小泉八雲 (Lafcadio Hearn) の孫の孫の守谷天由子(もりやあゆこ)です。 文系か理系かと言われるとアート系のジュエリーデザイナー。 八雲と同じく異文化に触れる旅やウィスキーが大好き! 2017年に5カ国に渡る足跡ツアーを4ヶ月かけて自力で回りました。 道中出会ったアイリッシュ夫と海辺の町で暮らしています。