アイルランドとギリシャの遺伝子を持つ2020年現在アイルランド暮らしの私ですが、2019年に日本でアイルランド人男性と結婚するにあたり色々な質問を受けました。
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Q, 苗字どうなるの?
A, 国際結婚に限り別姓が選択でき、なおかつ結婚はしたものの入籍はしていないので守谷のままです。
アイルランドで届け出るよりもはるかに仕事が少ないので日本で婚姻届を出しましたが夫が私の籍に入るのか?とは聞かれませんでした
Q, 国籍は?日本を離れるってことはアイルランド人になるの?
A, 日本人のままで結婚できるので国籍は変えません。
帰化の予定は国際情勢次第ではありますが2020年現在ではメリットを感じないのでありません。手続きもかなり大変ですしね。 この2つに関しては何度同じことを答えたかしら。 苗字に関しては変則パターンなので答え甲斐があるのですが国籍に関して
国際結婚=どちらかの国籍に統一
という概念を持つ人が多いのは今回の結婚での思いもよらぬ発見でした。
また、アイルランド人の夫との結婚に伴う様々は下記記事をお読みいただければと存じます。
明治時代は国際結婚したらどうなったの?
高祖父母の小泉八雲、セツ夫婦ですが191番目の国際結婚だったそう。
八雲が小泉家に入籍したことを”日本に帰化”と捉えるのが一般的のようで、どうやら当時は帰化の概念が現代と大きく違う可能性が高いようです。 現在において帰化をする場合、その国の言葉をある程度操り(八雲は片言でセツとはヘルンさん言葉という”てにおは”を省いた独特の言葉で意思疎通していました。)それぞれ国によって法律は違いますが少なくとも1年は帰化希望の国で暮らしながら年単位での手続きをたくさんの条件をクリアした上で進める必要があるように思います。
アメリカのグリーンカードなどのように運が必要なことまであるのが現代の実際です。
入籍=その家の人になる=場合によっては結婚によって国籍が変わる。
というのは明治時代のお話。
今とは比べ物にならないほど外国人が少なかったでしょうからビザ目当ての偽装結婚対策などの業務は不要だったとも考えられます。 ちなみにこれらは私が個人的に調べた結果なので専門家の方がいらっしゃればご教授いただければ幸いです。
さて、冒頭でも述べたように3%ほど、分量で言えば片腕の肘下ぐらいのアイルランドの血が流れている私がアイルランド人男性と家族になったのは自分のことながら面白いなぁと思うのですが、島国かつ長いこと鎖国をしていた日本から見ると欧米各国の血の混じり合いは世界史を学ぶまでもなく現代の市民レベルでもめまぐるしかったりします。 人によっては地雷なので
「あなたは何人なの?」
という質問をすることは基本的に無いのですが、アイルランドでの日本語のプライベートレッスン中にその時はやってきました。
ぼくはアイルランド人とイギリス人でいもうとはアイルランド人です
せっかくのプライベートレッスンなのと、彼は日本へのワーキングホリデーを直前に控えていたこともあり即使えるフレーズを叩き込むのを目的にこんな宿題を出しました。
自己紹介を日本語でしてみましょう
「私に知られたくない内容があるならフェイクでもいいけど今後に役立つフレーズを学べるかどうかは自分次第よ!」
と一応伝えたところ、全部真実を書いてきてくれた生徒さんの宿題の一文が
”ぼくはアイルランド人とイギリス人で
いもうとはアイルランド人です”
だったのです。
これは…訳ありセンシティブ案件やってきたの巻では?
「えっと…お母さんの出身は?。」
「Englandです。」
「お父さんが…」
「Irelandです。」
「うん。で、君と妹の両親は…」
「Same!」
Same? (同じ両親?)
質問しながら色々な可能性を考えていたので、ちょっとすっきりしてきました。
「君はイギリス出身で、妹はアイルランド生まれなのかしら?」
「はい。」
「もしかして…パスポート2つ持ってる?」
「はい。Irishのpassport使う。Brexitあります。Europaがいい。いもうとNo problem。」
(このやりとりをしていたのは2019年の春です。英国離脱に関しての彼の見解については話題がホップステップジャンプするので大幅に省きます。)
「なるほど。君と同じく妹さんにはイギリスの血が半分流れてるけど生まれたのがアイルランドだからパスポートがアイルランドの一冊だけで、君はイギリスで生まれてアイルランドで育ったから今、イギリス人でなおかつアイルランド人だと。」
「はい。」
「うん。”ぼくはアイルランド人とイギリス人でいもうとはアイルランド人です。” は長いでしょ?いいフレーズがあるの。“ぼくはアイルランドとイギリスのハーフです” ちなみにもし妹さんが日本に行く場合もこのフレーズの方がいいかも。」
「Hmmm, なぜ???」
「うんうん。日本だと〇〇人と言うにあたってNationarity(国籍)のことではなくてBlood(血統)の方が重要なの。多分植民地になった歴史が無いせいが大きいんじゃないかな。あと、日本ではBrexitのことはあまり知られてないから多分これからもずっと“ぼくはアイルランドとイギリスのハーフです” で大丈夫よ!」
ということで晴れてお互いの疑問は晴れたのであります。
勝手にセンシティブ案件
例えばアメリカですとアイルランド系アメリカ人(国民の10%ほど)だとか、ナイジェリア系アメリカ人、ドイツとベネズエラとコロンビアにルーツのあるアメリカ人などなど人種の異なる人々が暮らしている国であるから故に血統と国籍は分けて考えられています。(諸説あり。としておきます。)
日系アメリカ人として有名なのは女優の河北麻友子さんやフィギュアスケート選手の長洲未来さんでしょうか?
サッカーなどを見ていても大きめのヨーロッパ各国では移民系の選手が大活躍。もちろん国内での人気も上々です。
2018年に行われたロシアでのFIFAワールドカップで日本が残念ながら負けてしまったベルギーの主要選手、ロメル ルカクはベルギー出身ですがコンゴ民主共和国にルーツを持つ選手としても有名です。
コンゴは1885年~1960年まで75年もの間ベルギーの支配下でした。 ベルギー人はコンゴの人々を家畜、またはそれ以下のように扱ったとか。(例:象牙やゴム製造の仕事のノルマを達成できなかった住民の手足を切断する。)
日清戦争(1884年)から第二次世界大戦終結(1945年)までをまるまるひっくるめた以上の期間は日本が韓国を植民地支配していた期間(35年)の倍以上(1910年〜1945年)です。 それに際して2020年、Black lives matter の後押しもあったのかコンゴ民主共和国の大統領に宛てた手紙でベルギーの国王が謝罪をしています。
時代を超えて謝ることができるだけで感動してしまうのは私だけでは無い、はず…。
少し話題が逸れましたが、欧州各国において “◯◯系” 〇〇人であるというのは日本ほど重視されていないのでは?と言うのが個人的な見解です。
先にも述べたように見た目を理由にルーツを質問することは時にタブーだったりします。(例:戦地や貧国からの養子。外子。たまに自分から初対面にもかかわらず「赤ちゃんの頃にベラルーシから今のアイルランドのパパとママのとこにやってきたの〜。」と敢えて知らせたい開けっぴろげパターンもありますが、傷ついた過去があるためとも予想できます。)
な の で
惚れ惚れするほどのまっすぐなプレイに聡明さとチャーミングさを兼ね備えた女子テニス選手の大坂なおみさんが日本国籍を選んだことに対して、日本以外の国にもルーツがある私としては超ウェルカムです。
なおみさんのようにそれを理由に差別を受けたことは無いにしても100%日本の血が流れているわけでは無い私としては勝手に仲間意識を感じてしまいます。
アフリカのハイチにルーツがある日本人も
アイルランドやギリシャにルーツがある日本人も
パスポートに菊の模様があったら日本人でいいじゃない?
(とはいえ日本語では3%アイルランド人&ギリシャ人って書いちゃうけど。読み手ファーストということでよしなに。)
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