聖パトリックスデーはアイルランドの守護聖人であるパトリック、またの名をパトリキウスの命日。
紀元5世紀にキリスト教をアイルランドにもたらした聖人への感謝を伝えながらの緑のものを纏って練り歩くパレードはアイルランドでさえも行われるようになったのは20世紀からと歴史は浅いのです。
この記事では昨今の日本でも盛り上がり始めた聖パトリックスデー、又の名をPaddy’s day のトリビア紹介します!
1.セントパトリックはアイルランド人ではない!
アイルランドにカトリックをもたらした聖パトリックは現イギリス西部のウェールズ人で両親ともクリスチャンの家に生まれました。
2. パトリックは本名ではない!
オリジナルネームはMaewyn Succat。
ウェールズ語なのでアイルランド人の夫にヘルプを求めるも読めませんでした。近いのに。
Google 翻訳に話させてみたところ、マイウィン セッカットが一番近いカタカナ発音かな?といった感じです。
3. 聖人なのに元奴隷!
16歳の時にアイルランドの海賊に拉致されて奴隷として6年間羊飼いとして働いた過去があります。
4. 伝道師になるきっかけは、神のお告げ
しかもそれは仕事中だったとのこと。
そのお告げを聞き、300kmにわたる道のりを歩いてウェールズに戻ったのちに大陸で(おそらくフランス)7年間神学を学んで伝道師となりました。
また、以前奴隷として飼われていたアイルランド人に布教することに対して両親は大反対だったとか?古代のことなので100%ではないですが想像に易いです。
5. アイルランドにやってきた初の伝道師!ではない
既にアイルランドでは紀元前から根付いているドルイド教(アイルランドが起源のハロウィンはこのドルイド教のサウィン祭が元。)が広まっていたため断念した伝道師もどうやらいるよう。
どうやって聖パトリックが彼らを寝返らせたかというと…パトリックは本来ドルイド教では禁ぜられている日に火を焚いて注目を集めたそう。
罰を受けるかと思いきや当時の王様はカリスマ性にひれ伏して改心したそうです。
この出来事が起こったのは紀元432年。日本は古墳時代。氏姓制度ができる直前です。
アイルランド再訪をして聖パトリックがエンロールメントしたのは12万人とも言われています。
6. アイルランド中の蛇を海や湖に沈めて駆逐した
氷河期までさかのぼって科学的に証明されていることではあるのですがアイルランドに蛇がいないのは聖パトリックのおかげとも言われているようです。
実に妖精の国らしい解釈ですね。
7. パレードが最初に行われたのはアイルランドではなくアメリカ
当時はスペイン領だったアメリカのフロリダで1601年節とボストンで1737年があるようです。一説によると世界一古いパレードとも。
アイルランドで初めて聖パトリックスデーをお祝いするパレードが行われたのはは意外にも1903年。
私の高祖父である小泉八雲ことLafcadio Hearnが日本でKwaidanを執筆していた頃なので私とつながるアイルランドのご先祖さまはきっと驚いているでしょう。
ちなみに小泉八雲はイギリスからアメリカに渡る際に自身のファーストネームを捨てます。その名前はなんとPatrick。まさか死後150年以上経って世界中で自分の捨てた名前が叫ばれるお祭りが行われるとは、いくら先見の明があるおじいさまでも予測できたとは思えません。
ちなみにアメリカに20年ほど住んでいたのでもしかしたらアメリカのパレードを見ている可能性はあります。
お祭りの核となる都市は北アイルランドに
聖パトリックが亡くなった場所であるNewry, Mourne and Down という北アイルランドの都市ではなんと10日に渡ってお祝いの催しが行われます。
アイルランドで一番の賑わいを見せるのはダブリンで、みなさんおしくらまんじゅうしながら楽しむ(?)のだそうですが、10日もあれば神聖な瞬間もありそうですね。
8. 聖パトリックスデーのシンボルは三位一体をシャムロック
シャムロック(三つ葉のクローバー)はアイルランドの国花でもあり、お土産物屋さんでは様々なシャムロックグッズがあります。
三位一体(父なる神、子なる神、精霊なる神)を例えるために聖パトリックが使ったとされ、当時”3″はケルト人にとって神聖な数字だったためドルイド教から改宗させやすかったとか?
因みに四葉のクローバーは十字架の姿になぞらえて “幸運・幸福” の印としたそうです。ぬかりない。
また、パトリック旗はこちら。
どこかで見たことありませんか?
そう、カトリックよりプロテスタントが優位な北アイルランドを表す旗と同じ。公式ではユニオンフラッグではありますが人々の認識としてはこの旗は聖パトリック旗より北アイルランドのほうが馴染みが深いそうです。
20世紀半ばは違う旗を使っていたりもして、由来などなどについて諸説あり政治の話が深く関わってくるのでまたいつか…。
9. センパトといえば緑!だけど実は…
アイルランドのオフィシャルカラーは緑ではなく青。
St. Patricks Blueといわれる深い青なんです。
ちなみにこれは現地人でも緑だと思い込んでいる人が多いそうで、緑はどちらかというとナショナリストっぽいイメージを持つ人もいるとか。
パスポートと同じくアイリッシュハープがモチーフですが緑ではなく青、なんですねぇ。
因みにパレードでは緑のものを身につける縛りになったのは夫曰くどうやら最近のことでアメリカの方が緑にこだわっている気がする、日本のパレードはハロウィンと同じようにアメリカから伝わっていったもののように見えるようです。
昭和の動画ではただのにぎやかなパレードでした。
10. 緑のギネスが振る舞われるのは主にアメリカ
アイルランドは日本と比べるとかなりイベントごとと食べ物の結びつきが薄いのが実際のところ。
ハロウィンやイースターはバームブラック(紅茶のケーキ)やイースターエッグを食べるお家もありますが、聖パトリックデーはないようで複数のアイルランド人へのインタビューの結果100%が昼間から飲み潰れる日とおっしゃっていました。
アイルランドらしさ爆裂です!
まとめと小泉八雲について
私は小泉八雲の玄孫で3%アイルランドの血を引いているので、紀元5世紀の出来事について掘り下げるのは名もないご先祖さまのことを知っていくようでリサーチも楽しかったです。
YouTubeや別記事でも触れていますが小泉八雲のオリジナルの名前はPatrick Lafcadio Hearn。
高校中退をきっかけにアイルランドを離れ、アメリカで暮らすタイミングでPatrickの名前を捨ててLafcadio Hearnとして新天地での生活をスタートしました。
理由は全寮制カトリック系の学校の厳しさや教えに対して懐疑的であったとされ、土着宗教のドルイド教に傾倒したとか。
現在、アイルランド人の夫とアイルランドの田舎で暮らしているので八雲の少年時代に想いを馳せることがおのずと多くなってきています。
ご先祖様について調べることがライフワークとなって久しいですが、土着の文化と知識を結びつけていくことでまだまだびっくりすることが出てくるのでやめられません笑
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