ご先祖様

Tsunamiという言葉を世界中に広めた小泉八雲の作品、生き神と稲むらの火について

津波

と和英辞書で引くとTidal wave そして Tsunami の文字をほぼ全ての辞書で見ることが出来るでしょう。

何と”Tsunami” は私の高祖父である小泉八雲 (Lafcadio Hearn)が A Living God という作品を通じて広めた言葉なんだそうです。

日本語訳は ”生き神様、生き神” 。

また”稲むらの火” としてアレンジされたものが小学校の教科書につい最近再掲されたとのこと。

原文の崎山美佐子先生による翻訳版はこちら

そんなじっくり読んでられません!という方に玄孫が責任を持ってかいつまんで話します。

ざっくり稲むらの火

 

ある日地震がきて

ゆれが収まって

津波の兆候(めっちゃ引き潮)を確認した浜口五兵衛は

それを知らせるために収穫したばかりの稲の束に火をつけて人工的な火事を起こし

消火しなければ!と海岸から走ってきた人多数。

しかし人為的な火事とわかり孫はじめまわりに狂人扱いされるものの

瞬く間に津波が街を飲み込み

浜口五兵衛はほぼ全財産を失う

がしかし

400人程の命を救った彼は

浜口大明神(生き神) として崇められましたとさ。

 

といったところ。

(はしょり過ぎ解説なので天国に全力でごめんなさい。是非原典もお読みくださいませ。)

 

クライマックスは

村の長者である彼は、今は、一番貧しい人と同じくらい貧しくなっていた。
なぜなら、彼の財産は無くなってしまったのだから。
――しかし彼は、その犠牲によって400人もの命を救った。

 

との文章でしょうか。

ちなみに1854年の安政南海地震で起きた津波に基づいて書かれたものだそうです。(とはいえ全てが真実ではないとの情報もあります。)

 

また国語教材としての ”稲むらの火” は1937~1947年に和歌山の中井常蔵 という人が Lafcadio Hearn の書いた ”A Living God” を読んで感銘を受け、西洋と東洋の神様についての比較や具体的な年号の記述を省いて児童向けに翻訳・再構成し”燃ゆる稲むら”として応募したものが採用された形だそうです。

 

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また、60年以上のときを経て現在も国語もしくは道徳(両方の情報を目にしました。)の教科書に掲載されているとのこと。

私はまわりに小学生がいないので実際に教科書を読めてはおりませんが、私財の大半をなげうってまでもたくさんの命を救った勇敢な浜口五兵衛に感動するのは子どもだけではないはず。

また、知識(この場合は極端な引き潮)で人の命を救えるのだ。という所もポイントだと思います。

世界に広まった ”稲むらの火”

Tsunami 対策としてのアジア地域における”稲むらの火普及プロジェクト” として津波防災対策の教材としても紹介されているそう。大変光栄です。

インド洋の津波では、浜辺にいた十歳の少女が、潮が急に引く様子に「津波の前兆」と直感。母親に避難を告げて観光客を含めた100人以上の命を救ったこともあるのだとか。

現代の浜口大明神は世界中にいるようです。

また安政南海地震が起こった11月5日は ”世界津波の日 (World Tsunami Awareness Day) ” としても知られています。2015年(東日本大震災の4年後)に国連総会にて採択されました。

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弱きを見放し、大物に媚を売る権力者にこそ読んで欲しい気もしますが。

 

さて、ここからは私が2017年頃に伺ったお話

誰がどうやって稲むらの火の再掲に奔走してくださったのかは存じ上げませんがやっと決まったのがあの東日本大震災の前年(あたり?)だったとのこと。
それで再掲が延期になった(と聞いたような?)そうなのですが少なくとも2017年の時点で再掲が決まったかすでに採用されていたそうなのですが、やはり東北地方を中心に児童のフラッシュバックを懸念して授業で取り扱わない判断を下した学校が多かったそうです。

なおTwtterのフォロワーさんで

「授業で習いました!」

と教えてくださった方は2015年に小学校5年生だったとのこと。
教科書は光村図書 ‘’国語 五 銀河” の ”百年後のふるさとを守る”という単元で履修したとの情報をくださいました。
場所は内陸の埼玉県だそうで津波のイメージはし辛い土地だとは思うのですが生の声をいただけてとてもありがたいです。

 

授業で取り扱わない学校がある理由はもちろん理解できますし現場の先生方の気持ちに寄り添うとそれが正しいとも思ってしまうのですが、やはり知識で人命が救えるという事実を物語を通じて伝えていって欲しいものです。
個人的には自己犠牲の精神よりも大切に思えます。だって、生きてないと何も出来ないもの。

教育の機会が与えられていながらそれを無碍にするのは東日本大震災で亡くなった大勢の方々の命を無駄にするような気がしてなりません。

傷口に塩、どころか人によってはハラペーニョかもしれません。ですが生きて痛みを感じられるうちこそ学びの時間に費やすべきでは?

 

とニュートロン少なめな小泉八雲の玄孫は思います。

 

2019年3月11日、アイルランド南東部トラモアより 守谷天由子

 

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なお、今回のブログを書くにあたって現在どのような教科書にどの学年の児童に向けて教材として選ばれているのかのリサーチをしましたがなかなか思う情報にたどり着けませんでした。
もし教育関係の方などでご存知の方がいらっしゃいましたら情報をいただけますと私の中の1/16の小泉八雲が喜ぶでしょう。お問い合わせフォーム、もしくはTwitterよりお知らせの程お願い申し上げます。

 

ABOUT ME
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守谷 天由子
ギリシャとアイルランドの両親を持つ明治の文豪、小泉八雲 (Lafcadio Hearn) の孫の孫の守谷天由子(もりやあゆこ)です。 文系か理系かと言われるとアート系のジュエリーデザイナー。 八雲と同じく異文化に触れる旅やウィスキーが大好き! 2017年に5カ国に渡る足跡ツアーを4ヶ月かけて自力で回りました。 道中出会ったアイリッシュ夫と海辺の町で暮らしています。