小泉八雲 ラフカディオ ハーン

邦訳があっぱれ秀逸な映画4本のレビュー集 by 小泉八雲の玄孫

21世紀ともなるととんでもないスピードで映画が作られて何カ国語にも渡って翻訳された後に世界中に広まっています。

1850年生まれの高祖父、小泉八雲の書いた作品はほぼ英語。
あまり知られていませんがフランスで教育を受けたことがある関係で仏英翻訳の仕事を手がけていたりなんかもします。
とはいえ日本にやってきたのは40歳の頃。そこから学んでいった日本語は ”ヘルンさん言葉” という”てにをは” を省略し、英語風の語順での会話だったそうです。

2019年現在アイルランドで暮らしている玄孫の私ですが、電子辞書もない中で英語を学びつつ独特の日本語を語るセツおばあさま。タフだなーと思います。

 

彼らの血を1/16ずつ引き継いでいる私は母国語の日本語の他にドイツ語と英語がそこそこしゃべれます。(アカデミックな教育を受けていない現場主義に付き、読み書きは苦手。)

そんなうっすらトリリンガルの玄孫が厳選した ”邦題がイケてる映画” を極力ネタバレを避け、また独自のエピソードを交えてご紹介します!

 

アナと雪の女王  ~ Frozen ~

 

アナと雪の女王<シング・アロング版>

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Frozen

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うーん、私だったら ”氷の国””氷のお城” って訳しちゃいそうですが、名前と役職(?)を題名にし姉妹の話であることをアピールするこの邦題はまさしく秀逸だと思います。
また白人の家族だと目の色や髪の色が違う兄弟姉妹は全く珍しくないのでその点に置いても日本市場を意識できていると言わざるを得ません。

ちなみにバーピアニスト時代にたまに「アナ雪弾いて〜!」とリクエストされては難しくなる前の有名なフレーズだけ弾いていました。

お仕事中に

 

「 あの話はさ、 どっちがユキちゃんなの? 」

 

とおじいちゃんなお客様に質問されたのも良い思い出です。
邦訳と言う概念がないのでしょう。こちらアメリカ資本のディズニー映画でございます。

 

それでも夜は明ける ~12 Years a Slave~

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直訳だと ”12年の奴隷生活” てな感じでしょうか?
全然そそられません。多分この邦題だったら、観てない。

”それでも夜は明ける” というタイトルはちょっと臭い気もするのですが、まあ映画ですしこれくらいでちょうどいいのではないでしょうか?
”それでも” と言ってるあたりで悲壮感に満ちたシーンがあることは並の日本人なら想像できますしね。

奴隷として生活した当の本人の書いたお話が元になっている映画ということでヘビーな描写の豪華フルコース。
なので精神が健康な時にご覧いただくのがおすすめです。

あっ、でも衣装は時々めちゃくちゃセンスがいいので落ち込み過ぎそうになったら注目すると良いかもしれません。ブラッド ピッドもいい味出してます。

ちなみに作品の舞台は1841年。
小泉八雲おじいちゃんがアメリカに渡ったのは1869年ということで奴隷解放宣言が出された7年後。
まだ異人種間の結婚は禁止とされており(おじいちゃんが法律を破ってまで結婚したの最初の奥さんはアフリカにルーツを持つ女性。)奴隷はいなくとも差別はきっとぜったいたくさんあったと思います。

2017年に訪れたシンシナティでは奴隷小屋のあるお家もいくつかありました。

ということでおじいちゃんと天国で一緒に見たい映画 No,1(暫定)でもあります。

 

ヒトラーの忘れ物   ~ Under sandet ~

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原題はデンマーク語で直訳での意味は ”砂の下” とのこと。

第二次世界大戦で敗北したドイツの少年達が占領下であった隣国デンマークにある地雷原に知識も満足にないまま放たれ、文字のごとく命がけで地雷を除去していく実話ベースのお話なのですが、とにかく悲しい。彼らの犠牲のお陰で21世紀の今、安全に暮らせていると思うとどうにかなっちゃいそうです。デンマークは行ったことないのですが友人パパは未だにドイツ製品を極力買わないとか。大変そうだな。

この映画はドイツ語で会話がなされており、それを英語字幕で観る im Flugzeug あっ、飛行機の中での鑑賞でしたが内容を100%カバーできない中でも本当に胸を切り裂かれるような気持ちになり、そわそわしているところで

「乱気流はいりまーす!」

なんてアナウンスが流れたりもして、何がなんだかわからない気持ちで目的地に着いちゃいました。

そんなエピソードはさておき、英訳の ”Land of Mine”

 

すごすぎじゃない?

 

アイマイミーマインと呪文のように覚えさせられた方も多いでしょう。
よく知られた Mine の意味はご存知のとおり ”私の” ですが

 

爆弾

 

という意味もあるのです。

ポケモンのマルマインを思い浮かべてなるほどと思ってくださる方がいれば幸いです。
一つ語彙が増えましたね!おめでとうございます!

話が脱線しましたが、要は

 ” 地雷の土地 ” と ” 私の土地 ” のダブルミーニング!

若干ネタバレですが祖国ドイツに帰りたくてしょうがない少年達についての ”Land of Mine” はドイツと思うとトリプルミーニングともとれます。

 

邦題についてもきっと色々考えてくださった方がいるでしょう。
現代直訳は味気ないし抜群にセンスのいい英訳には嫉妬せざるをえません。

そこで映画には出てこない元凶ヒトラーの名前を出すことで戦後の悲しいお話であることを示唆しています。考えたなぁ…。すごい。

実は2016年の映画ランキングでも11位にランクインしているこの作品、土まみれにも関わらず若く麗しいドイツ少年たちを観るだけでも必見です。でも、超悲しいです。

ちなみに韓国版のジャケットはこんな感じ。題名の意味まではちょっとわかりませんが、センスいいなぁ。

 

ヒトラー ~最期の12日間~    ~ Der Untergang ~

ヒトラー
~最期の12日間~ (字幕版)

Der Untergang

 原題のドイツ語は ” 没落、破滅、沈没 ” という意味。
まさしく総統としてイケイケだったヒトラーが降伏を余儀なくされていく状況が156分に収められています。

156分、2時間半以上シビアな描写が続くロングムービーですが

「そう、12日間に渡ってしぼんでいく映画なのよね。」

と時折思い出すことでなんとか最後まで観れました。

 

余談ですが

「ヒトラー ブルーノ ガンツ 空耳」

で検索するととっても下品で笑える動画が観られます。

天国からムチが飛んできそうなのでリンクは貼りませんが、故ブルーノ ガンツの迫真の演技と空耳な内容のギャップはクセになるかも?

 

っていうかドイツ語バージョンのジャケット、かっこ良すぎです。
総じて海外バージョンのデザインの方が魅かれてしまうのですが、日本ではどんな偉い人がチョイスしてるのかしら?
デザイナーの質は悪くないはずなのになぁ。

 

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ABOUT ME
守谷 天由子
ギリシャとアイルランド人のハーフである明治の文豪、小泉八雲 (Lafcadio Hearn) の孫の孫の守谷天由子(もりやあゆこ)です。 文系か理系かと言われるとアート系のジュエリーデザイナー。 八雲と同じく異文化に触れる旅やウィスキーが大好き! 2017年に5カ国に渡る足跡ツアーを4ヶ月かけて自力で回りました。 2018年から1年間八雲縁の地であるアイルランドの田舎で暮らした経験を踏まえて多岐ジャンルに渡って発信中!