コラム

田舎もんスタバ男子を襲った悲劇 in 銀座

あなたはシアトル発のカフェチェーン、スターバックスコーヒーに対してどのような見解ですか?

 

おしゃれで落ち着くからところ構わず入りたい?

新商品を頼んではSNSにアップロードするのが生き甲斐?

そんな人たちを薄っぺらい感性と揶揄する人もいるでしょう。

 

 

これだけ全世界で展開されているので様々な意見があるかと存じます。

 

信じてもらえないかもしれませんが私も15歳の時に1人、渋谷のスタバでオーダーしたキャラメルフラペチーノを片手にふらふらと街歩きをした時の高揚感は未だに忘れられなかったりします。
(ちなみに1人で渋谷に行く理由はオーボエのリードをラブホテル街にある専門店に買いに行くことで、その、補導されるような案件には出会っていません。)

 

後日、千葉県の地元に3店舗も出来たためウキウキは長続きせず。
そして丁寧に淹れたブラックコーヒーのおいしさに目覚めるまでにもさほど時間はかかりませんでした。
友達とおしゃべりするのにちょうどいい場所にある時やどうしてもWifiが必要な際にスタバは使わせていただきますが、期間限定の砂糖どっさりカロリーラーメン並みメニューはスルーするので国内外問わずわざわざ足を運ぶことはあまりありません。

 

私個人の見解はさておき、日本においてはおしゃれカフェチェーンとして確固たる地位を築くスターバックスコーヒー。

田舎の若者が東京に数えきれない程のスタバがあってテンション爆上がりする気持ちはわからずとも想像するに易いですし、わざわざ行かないだけで嫌悪感を抱いている訳ではないので微笑ましいなぁとも思います。タピオカ然り。

 

これは恐らく田舎から大学進学をきっかけに東京にでてきたばかり。
そして憧れのスターバックスコーヒーで働きはじめた18歳の男の子のお話です。

 

時は私がデパートで働いていた頃

銀座4丁目交差点からほど近いデパートで2年程働いていた時期があるのですが、削るところは削ってお金を貯めていたので家から持ってきたお弁当をまるで牢獄のような従業員休憩室で食べ、午後は気付けに80円のコーヒーとたまにお菓子を食べて休憩時間を過ごしていました。

とは言えせっかくのザギンです。
月に一回ぐらいはと日本一の地価を誇る銀座の空気を吸うべくデパートの外で休憩時間を過ごしていました。

とて、たった30分の午後休憩を外で取ることは極めて稀。

昼休憩の時に郵便局へ行くはずだったのですがうっかり忘れてしまったので午後の休みに用事を済ませざるを得ず、だったらコーヒーも外で飲むか。といくつかある選択肢の中からデパートにほど近いスターバックスコーヒーを選んだのでした。

その店舗は都内らしく所狭しと小さな机と椅子が並べられており、1階は主にレジ関係で2階がイートイン客のスペースという建築です。

先に席を取るように促されたので階段めんどくさいなぁと思いながらも2階へ行くとトレーニングバッヂをつけた田舎もんをオーラを纏う18~19歳の店員さんが席をスムーズに案内する係として働いていました。

 

「1名様ですね〜!はいっ!では!こちらへどうぞ〜!」

 

もしかしたら彼の初バイトがこの銀座のスタバな可能性もあるなぁ。
と想像しながらフレッシュな眩しさに微笑みを隠すこともなく案内されるがまま椅子にストールを掛けます。

1名様なのになぜか3名様用の席を案内されましたが特に突っ込みませんでした。時間ないし。

 

なんだか楽しくなってきてしまったのでコーヒーしか頼まないつもりでしたがサイドのお菓子までオーダーしてしまいます。

 

2階へとまたやって参りました。

 

 

事件発生

 

たった数分前に私が案内された席には「キレてないよ!」で御馴染み(ヤングはググってね!)のマイク ベルナルド風の白人男性と

「レイ セフォーのカズンです!」

と自己紹介されても特に驚かない風貌の、要は筋骨隆々の外国人私のストールの席を避けるよう2人が向かい合って座り、寛いでいました。

 

マイク ベルナルド(享年42歳)

 

南海の黒豹、レイ セフォー

 

 

誰をどこに案内したか特に記憶せず、尚且つ私のストールが見えていなかったと思われるバイトくんのミスです。
彼らは強面ではありますが、よくいる日本のクレーマーじ…紳士よりも対応はスムーズだと思われたので自力で違う席に移動しようかと思いましたが、ちょっと意地悪したい気分だったので彼の責任を問うことにしました。

 

「すみません、先ほどご案内いただいた席なんですけど違う方が座ってらっしゃるので…移動した方がいいですか?」

 

バイトくん、顔面蒼白。

この世の終わりを知ったときのような顔をしています。

さてどうするのかしら?

 

「えっえっ えくすきゅーずみぃー!

ゆあシート!ディスシート!ソーリー!ソーリー!

サンキューう!

 

必死に別の席を案内する彼。

バイトの経験値は大幅アップしたに違いありません。

 

思っていた通り、特に不快な素振りを見せることもなくベルちゃん&セフォーコンビは席を移動してくれて一件落着。

明らかに1人で寛ぐには見合わない席で残りの休憩時間を過ごしたのでした。

 

バイトくんにお礼を言ったら…

必死に働いている姿に胸を打たれ…はしないものの彼を労いたい気持ちになったので帰り際に声をかけました。

 

「先ほどはありがとうございました。助かりまし…」

 

「あっ!はいっ!どうもありがとうございましたあっ!」

 

と深々と勢い良くお辞儀をしたが最後、私が片付けていたトレイに勢いよく頭をぶつけてくださいました。

なんとかマグカップは守りました(飲み切っててよかった。)が、その他諸々が階段にぶちまけられ…私も仕事に戻らなければ行けないので恐らく狭い狭い階段を上って来るスタバ客を案内しつつお片づけなさったことでしょう。さらに経験値アップ!

 

 

銀座の写真はないけれど、

私のカメラロールに唯一あったスタバの写真です。

 

地味ですが、こちらはシアトルのスタバ1号店。

もちろん並んで入るわけもなく、彼らの感性を理解すべく記念撮影に興じました。

いったい一杯のコーヒーにどれだけの労力をかけるのかしら。

 

小泉八雲おじいさまにちなんだ、おまけ

小泉八雲が日本へやってきたのは1890年のこと。明治23年ということで大政奉還が行われてから4半世紀が経とうかとしていた頃でした。

日本中が西洋の文化をどんどん取り入れていた時代で、帝国ホテルが開業したのもその年です。

そんな日本を八雲おじいさまは、セツおばあさまにこう嘆いています。

 

”日本に、こんなに美しい心あります、なぜ、西洋の真似をしますか?”

 

出雲大社から目と鼻の先にあるスタバ。
どの甘味処よりも賑わっております。

 

 

 

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ABOUT ME
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守谷 天由子
ギリシャとアイルランドの両親を持つ明治の文豪、小泉八雲 (Lafcadio Hearn) の孫の孫の守谷天由子(もりやあゆこ)です。 文系か理系かと言われるとアート系のジュエリーデザイナー。 八雲と同じく異文化に触れる旅やウィスキーが大好き! 2017年に5カ国に渡る足跡ツアーを4ヶ月かけて自力で回りました。 道中出会ったアイリッシュ夫と海辺の町で暮らしています。