第2章の前に
すでにシルバーでプロトタイプを作ったのですがそれについての記事はこちら。アイルランドのマリッジリング事情についても綴っています。
た。
上記の記事でもお話ししているのように夫のリングがゆるいのと私が自分で作ったシルバーのリングにときめいていないのでゴールドで作る第2章へと進みます。
サイズチェックと夫来日中の各種イベントに結婚指輪をした状態で出席するためにシルバーで作ったβ版ですがゴールドで作る前に夫に確認したことがあります。
刻印、どうする?
「え?別になんでもいいよ!ってか必要なの?」
(あら、こだわり無いのね。)じゃあ、仮に亡くした時に目印になるように内側に結婚記念日の刻印するから。
「あ、そしたらねぇ〜”フォーエバーウィズユー アユコ” って入れて欲しいな。日本語で。」
”できるだけお揃いがいい!”の次は翻訳が待ち構えていたのでした。
直訳に近い”天由子、あなたと永遠に” は失笑ものなのでバイリンガルの友人何名かに質問しつつこうなりました。
ちなみに
文字のフォントに3日くらい悩み…
素材のチョイスに2週間ぐらい悩み…
幅や厚みでもかれこれ1ヶ月くらい悩み…
渡欧までに時間の無い中で職人さんには無理をさせてしまいました。ごめんね!
にもかかわらず
「外国の人だからこういうのいいかなって。」
と、この桜のハイセンスなカードに綺麗にセッティングして納品してくださった職人さんブラボー!
リビングに飾っています。
とはいえ、コロナでアイルランド行きが4ヶ月も延期して、なかなかつけられずにもどかしい思いをしたのは私だけです。(結婚に際して予想外の出費が重なったのでしばらくはシルバーでいいよね、というところで落ち着いていました。)
ちなみに私の指輪のには ”できるだけお揃いがいい!” を叶えるためにアイルランド語で似たようなことを刻印しています。
アイルランド人でありながら英語しか操れない夫的には読めないせいか英語よりも洒落て感じるそうです。よかった〜。
私もアイルランド語は”ウィスキー”と”乾杯!”しかわからないのでダブリンに住む詩人のお友達に相談しました。
ちょっと!素材に2週間悩むって、どゆこと?
ゴールド(18金)というのは決めていました。ですがゴールドの種類って実はたくさんあるのです。
一般的にゴールドというとイエローゴールドを指すことが多いのですが近頃ではピンクゴールドもよく話題に上がります。
(ただ、修理の可能性を考えると加工がしにくいので結婚指輪にするのはあまりお勧めしません。また、金属アレルギーがイエローゴールドよりも出やすいとも言われています。)
私がチョイスしたのはゴールド75%、シルバー20%、カッパー5%の割合の地金です。
言うならばグリーンゴールドとかライムゴールド、青金とかそんなところでしょうか。業界では青割りということもあります。
これは豆知識なのですが実際のところイエローゴールド(ゴールド以外の割金がシルバーとカッパーが12.5%ずつ。)以外のゴールドの合金に具体的な素材を指す名前は付いていません。
ブランドによって割金の詳細を公開していないことも多いので、ピンクゴールドと一口に言ってもそれぞれ色味が違ったり、桃金やローズゴールド、オレンジゴールドなど似たような名前があるのはそのためです。
第1章で訪れたアイルランドのジュエリーショップではプラチナとイエローゴールドしかバリエーションがありませんでした。
デザインで遊べない分せっかく自分で作るんだからせめて素材にこだわろうという企てです。
前述の通りピンク系は加工がしにくいのとどうしても銅の成分が多いとメタルプロフェッショナル(笑)としてはなんだか安っぽく感じてしまう(実際、素材の価値でいうとイエローゴールドよりもちょっとだけ低くなります。値段が高いのは制作の手間がかかるのでそれに対してのコスト。)のと、単純にグリーン系ゴールドは使っていく上で生活傷がついた時もアンティークな風合いになるので一生使うことになるであろう(願望)結婚指輪においてグリーン以外の選択肢で悩むことはなかった(ホワイトゴールドにするなら使い勝手を考えるとプラチナがいいです。)のですが、割金の割合で2週間悩みます。
夫に相談したところでお任せされるのは目に見えてるのですが、やはりヒントは夫からでした。
なくしたら嫌だからシャワーの時もつけてるよ!
グリーン系のゴールドの特徴として、シルバーの成分が多いのでイエローゴールドよりも柔らかいというものがあります。
色味としてはゴールド以外の25%を全てシルバーにしたかったのですが、5%のカッパーを加えるだけでも地金は強くなるので見た目よりも(主に夫の)使い心地重視にしました。
私は傷をなるべくつけたく無い派なので外に出る時しかつけていません。
幅や厚みって、どうやったら1ヶ月も悩めるの?
ええ、シルバーのプロトタイプを結構真面目に作ったので夫のものはともかく私用のはそのままでいいじゃんと思いますよね?
ところがある日
「シルバーだったら細身でも素敵だけどゴールドはちょっと幅を広くしたほうがかわいいわよ?細指だからって諦めないで!」
と私の左手の薬指が問いかけてきたのです。
それから何度ノギスを指に当てたりペン直接指に描いた幅をノギスで測ったりしたでしょうか?
内側のアイルランド語刻印とのバランスも考えて、最終的に2.3mmから2.5mmに変更しました。以外と違うんですよ!
また、厚みに関してもそれなりに悩みました。
夫のものはサイズチェックを念頭の目的において作っていましたが私のβ版は嵌めて生活していく中でそのものを削りながら過ごしていたので結構パーフェクト!
今回作りませんでしたが婚約指輪は(意味、違くない?というツッコミはさておき)デザインもラフでは描いてあったのですが肝心の中石を見つけられませんでした。
(マーキースかペアシェイプのミントベリルかモンタナサファイア1ct前後。一度見つけたものの5個セットでしか売ってもらえず、渡愛準備をする中であと4つをどうにかする仕事もできないので断念しました。)
きっとご先祖様が今じゃ無いよと言ってくれてるんだと思います。
未来に備えて重ね付けを考慮するとシンプルな一文字のオーバルはマスト!なはず!
そしてそもそも太めのリングを希望していた夫(第1章参照)は重ね付けをする気がしたのでβ版シルバーリングをした時に揃うようにしています。(夫のβ版はサイズチェックを念頭に置きつつデザイン重視。幅細めで厚めのデザインなのでそれに合わせると分厚すぎてつけ心地が悪いですし、シルバーよりも薄いことでシルバーがガードして傷などのダメージを若干防げるとの考えもあり、幅は広めですが厚さは薄めでつくっています。デザインで何か言われたらシルバーを削る覚悟でいますが今の所その傾向は見られません。)
予想的中!
重ね付けの未来はすぐにやってきました笑
ちなみにこれはちょっとしたライフハックなのですがゆるいリングの上からぴったりのリングをすると抜けません。(当たり前なのですが、案外緩くなったリングがつけられなくて悲しい!と相談されることが多いので。)
なので夫はシルバーの上からゴールドをつけて四六時中過ごしています。
私のものはシルバーはぴったり、ゴールドは(ちょっとケチって薄くした&少し太っても大丈夫なように大きめにしつつシルバーリングとの外周を揃えた)ので0.5号大きめに作りました。
なので夫とは逆の配置です。
もともと個人的に地金コンビのデザインが好きなので色々と試行錯誤した結果の着地点としては上出来かな?
余談ですが地金の混ざったのデザインは万が一売ることになった時に買い取ってもらえないこともあるのでよほどの覚悟が無い限りお勧めしません笑
コロナで金の価格が爆上がりしてる中で作ったので、売らずに一生を終えることを祈るばかりです。
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