わたしの高祖父である小泉八雲(Lafcadio Hearn)は文豪として知られていますが日本へやってくる前はアメリカで主に新聞記者として仕事をしていました。
日本でも神戸クロニクルで働いていたこともあるんです。
取材もそれは熱心にされていたそうでシンシナティ時代の焼死体の記述ではバナナ食べれなくなるぐらい生々しいものが残っていたりします。(そもそもわたしはバナナアレルギーですが。)
調べもの大好き
気になる物事があるとすぐググっちゃいます。
が、これだけ便利になった世の中でさえも足を運ばないとわからないことってたくさんあるんですよね。
それは2013年冬のことでした。
ドイツでのワーキングホリデー生活から帰国し、新しく契約したスマートフォン。
当時既にほとんどの連絡をメッセージアプリを通してしていたので電話番号を伝えた相手というのは本当に極わずかでした。
にもかかわらず、着信音が鳴ります。
しょっちゅう。
最初は「番号間違ってますよ〜。」とだけ伝えて切っていましたが、どうもおかしい。
みなさん
「デイサービスすみれさん(仮)じゃないんですか?」
って訊いてくるのです。
回数も頻繁になってきた頃、どんな電話番号にかけているかをお尋ねしました。
名古屋の番号でした。
なんとなく状況を察すると、夜逃げの際に転送先の番号として適当に打ちこんだ携帯電話の番号がわたしのものだった。ということでしょう。とんでもない確率ですが。
そして何件目かでかかってきた男性から思わぬ情報を聞き出します。
「やられた!だまされた!」
なんかわくわくします。かわいそうだけど。
保険金関係のトラブルに巻き込まれた彼に ”損太”というニックネームをつけます。
「おねえさんも、NTTに事情を言えば番号解除してもらえるでしょうから早くやった方がいいですよ。」
と損太はお怒り気味にアドバイスしてくださいましたが、
かえませ〜ん。
もっとドラマ知りたい!
とはいえ着信はだんだんと減っていきます。
来ちゃった
親戚が奈良に住んでいるのですがいつもは京都経由で行く所を名古屋乗り換えに変更し、途中下車をしました。
そういや損太どうしてるかな?と髙島屋の踊り場から電話してみました。
「すみません、以前デイサービスすみれさんへとお電話いただいた転送先のものなんですが、今名古屋におりまして。せっかくだから現場見てみたいなって思ってるんですけどその後お変わりないですか?」
「あっはぁ、見つかってないですねぇ〜。」
「そうですか〜。ちなみに住所って◯◯◯であってますか?」
「あってますよ。ただ僕もしばらく行ってないからどうなってるかはわかりませんが。」
「わかりました!行ってみます!」
もっと色々訊きたかったけどなんだか忙しそうな損太の時間を使わせる訳にも行かないし、どうなってるかはわからない。ということでウキウキしてきます。
Googleによると名古屋駅から地下鉄を乗り継いで15分程でつく住宅地の中にあるデイサービスとのこと。
それなりに混んでいました。
写真は控えますが投げ込まれた郵便物から逃げたのは杉野さん(仮)という人だとわかりました。
どうしたんだ〜杉野〜!!
変な女の子がいる〜
お散歩中のおじいさまにガン見されます。
訳を話して何か知ってることがあるか訪ねてみましたが
「知らないねぇ。いいところじゃないよ。見て分かるでしょ。人を不幸にした奴だよ。」
なんかいらつかせてしまいましたがせっかくなのでデイサービス跡をバックに写真を撮ってもらうことに。が、うまく撮れてませんでした。
さらにテンションが上がって向かった先は
地元に根付いた風の喫茶店を発見しました。
中の写真はありませんがゴルゴ13などの昭和な漫画がたくさん置いてあって、夕方の日テレがついてました。
せっかくやってきたので聞き込みをします。気分は時効警察(オダギリジョー主演のドラマ)といったところ。
ご夫婦かな?といった雰囲気のマスターとママさんがいらしたので訊いてみます。
「あの、実はわたし訳あって東京から来てるんですけどここの近くのデイサービスすみれの杉野さんなんですけど、ご存知ですか?」
「あぁ杉野さんねぇ〜静かな人よぉ。最近そう言えば見ないわね。」
「実はかくかくしかじかでわたしの番号がたまたま転送先になったみたいで名古屋駅からもそんなに遠くないし気になっちゃったから乗り換えついでにやって来ちゃったんです。」
「あらまぁ〜。大変だったのね。って言っても私よく知らないのよねぇ。」
「あの人は韓国人だったんじゃないか?」とマスター。
ちょっとだけレイシストのにおいがしたのと、言う程情報も得られなかったので退散しました。
杉野さん、何やらかしたか知らないけど生きててね。
損太にもいいことありますように。
小泉八雲の玄孫、名古屋初上陸の思い出でした。
シェア大歓迎!ご意見ご感想はTwitterよりおまちしております。