ヨーロッパの長距離列車はボックス席というかボックス席部屋になっていることが多く、だいたい6人が向かい合って座るお部屋がボンボンと連なっています。
設計のせいか、はたまた国民性というやつか1人で乗っていると話しかけられることもしばしば。
おじさまおばさまは当たり前のように若い人でもとくに女の子はかるーく
「どこからきたの〜?旅行〜?」
と喋りかけてくれます。
そんな中の1人のイタリア人ガールのお話。
華やかな見た目の彼女とはボローニャからミュンヘン行きの電車で相席になりました。
「この席ってもう埋まってますか?」
的なことを最初にイタリア語、次にドイツ語で聞かれたので
「あいてますよ!ビッテビッテ!」
とドイツ語で答えて2人っきりのひろびろボックス席の旅がスタート。
そしてガールズトークのはじまりはじまり。
ほほに人差し指を当てて
「ベゲトゥン?」
よく聞き取れずに聞き返しました。ベゲトゥン? そんな単語あったっけ?
あぁ、わかった。Weh getun? トラガスあけるの痛かった?って言う意味ね!
(トラガスとはボディピアスの一種で耳の穴の入り口、顔側の皮膚にあけたピアスのことです。意外に思われることも多いですが私は6つピアスホールがあります。最近は着物が多いので2ホールしか使っていませんが。)
「そうねぇ、他のピアスホールとそんなにかわらないけどタオルひっかかったりとかはしないから穴が出来上がるのは割と早かったよ!」
そんな至極どうでもいいお話から暇つぶし女子トークがスタート。
彼女はイタリアとドイツのハーフでドイツ生まれの20歳。だけどドイツ人のお父さんの顔は知らずに育ったのこと。イタリアにいる親戚を訪ねてきた帰りでイタリアで暮らせたらいいなあとは思うけど経済のことを思うとやっぱドイツ。ということで高校を卒業した今は化粧品の販売員をしておりこないだ3年つきあった彼氏が浮気したから別れちゃって。
なんてお話をとめどなく。
ああ、それは残念だったねと伝えると
「うんありがと。でもね、彼氏もういるの。っていうか時期、かぶってた?っていうか?あっはは〜!」
被害者面、10秒で終了。
「この話はまだ誰にもしたことないんだけどね〜。私から声かけちゃって。うん。なんかセクシー。なかんじ?だったから。」
「どこで出会ったの?クラブとか?」
「それがね、Lidl (日本で言う西友的な安さが売りのスーパー)なの〜。パンとチーズ買ったついでに男ゲット〜的な〜。はっは〜!!」
あかるい!めちゃあかるい!なんて楽しいハタチ!まぶしい!
「Lidl最高だよね!モノは安いし。男はいるし。イェ〜!」
ブラビッシーモー
ちなみに彼女はシュトゥットガルトが最終目的地なのでミュンヘン(終点)で乗り換えの予定だったのですがミュンヘン西駅で降りようとしまして。
「大丈夫?西駅だよ?降りるとこまだだよ?」
「やっばー!乗り換えの時間少ないからって超焦っちゃった!ありがと!あなたと同じボックス席に乗ってホントよかった!若いのにしっかりしてるのね〜!たくさんお喋りできて楽しい旅だったわ!気をつけてかえってね!チャオ!」
彼女の5つ上なのは黙ったまま、チャオ!しました。
どんなに心許せる家族や親友がいても、愛するが故になんでもかんでも喋れないなんてことありませんか?
そんな時、旅先で出会ったこれから会うこともない人とお喋りするのってある意味、心のデトックスな気がします。
タクシーなんかでも、ね。
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